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SmallTitle姉妹誌

第11号

平成15年11月1日発行

(下記廃刊後記入)

   (「月刊デジカメ作品」は廃刊なっています。
続刊はデジカメワークス」(ここをクリック)をお楽しみください。)

1 はじめに

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   近頃はデジカメのスペックも大幅に向上し。ハイエンド機と言われる高級機も一般の アマチュアの手の届くとこるまで安くなってきています。機能も向上し素晴らしい機能を持ったデジカメが増えています。 それもあってかメールマガジンに掲載している写真も以前よりは良くなったと誉めて頂いたりします。でもカメラ店の売り 場をみると高級機は大きくて重そうです。お気づきでしょうが、ブロードバンドの普及で画像のサイズも以前程窮屈に考え る必要もなくなってきていますので、「デジカメ作品交換会」の画像サイズ、ファイルサイズとも少し大きくして掲載して いますので少しは見栄えもよくなつたかと思っています。
   ですがデジカメの特徴の一つは軽便さにもあったわけで、ちよっとホケットに入れて出先の何かを撮っ てこれるというのも魅力の一つです。この部分は一部がカメラ付携帯に移行しているという事もあるでしょうが、カメラ付 携帯もランニングコストが高く中級デジカメに取って変わるとは思えません。中級デジカメはデジカメ写真界においては今 後も重要な位置を占めるだろうと考えています。気楽に写真、画像を楽しめるように軽便さというものも大切にするために も素晴らしい本格的な写真と共に、多少質は落ちても気軽に撮ったスナップものもメールマガジンにはうまく組み込んでい きたいと考えています。
   写真の腕に自信のない方も写真の持つ情報の豊かさを信じて難しい事は後にして、撮った写真をどんど ん「デジカメ作品交換会」に投稿していただくようお願いします。少数の優れた作品は勿論大切ですが、点数、量の多さが 良い作品を生み出す土台になっている事も無視できません。作品の数もまた重要だと考えています。中級機も大いに活用し ましょう。」

(発行責任者:木村元一)


2 今月の特選デジカメ写真


 今月は、「デジカメ作品交歓会」の既刊#231号から#235号までに掲載 された写真のうち、5名の編集委員各々が選んだ「この1点!」計5点と、いつものように編集委員の投票に よって選ばれた7点を掲載します。順不同です。


「スカイウオッチャー」が選んだ「この1点!」

#234a号から、藤田正俊さんの作品、「丸ビルにて」

作者コメント:   「カウパレード東京in丸の内2003」で実物大牛模型のボデイペイン テイング60余点の芸術作品が丸の内界隈に展示される美術展に出かけました。解体撤去して再建された「新丸ビル」の内に も牛たちが放牧されているので附属建屋5階に上がったら、展望オープンスペースがありました。東京駅赤レンガの建物が見 える手摺りに、適当な間を空けてカップルが夫々の姿態でいるのが目を引き、デジカメました。」

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編集委員評:   「藤田さんの街中の散策の写真にはたいてい人物が写されてい ます。ビルを中心とした無機物な構造物だけでは何か冷たい「物」としてしか表現されていない写真が多いと思いま す。そこに人物(生物)が入る事によって暖かさが加わり豊かな表情が表現できる気がします。人物を必ず入れて撮 られることで藤田さんの人に対する暖かさを感じます。
   さてこの写真についてですが、いつもの視線と異なる視線で撮られた東京駅、前景の画面を縁取 るように写されたビルの一部。これらが非日常を表現する劇場の舞台を想像させます。演じるのは後姿の寄り添って 立つカップルたち。それぞれの後姿にそれぞれの人生の旅立ちが想像できると思うのは小生だけでしょうか?好きな 写真です。」(by スカイウオッチャー)


「うぐいす」が選んだ「この1点!」

#232d号から、大森保武さんの作品、「雲海と夕焼け」

作者コメント:   「ようやく雨が上がりました(24日・25日甲子園対ジャイアンツ 戦も雨で中止)昨夕方、西の空が赤いと気付き、急いでポイントまで急行し、満足できる写真ではありませんが1枚だけ夕 焼けが撮れました チャンスだったのに残念!ところが今朝はまずまずの雲海が、久しぶりに出現しました。これからがシ ーズン、楽しみです。2枚添付します。」

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編集委員評:   「まさに雲海ですね。雲の海に浮かぶ島々、大森さんの研究中の例のパノ ラマ写真の流れの一枚だと思いますが、見事ですね。都会では決して見る事の出来ない風景を見せて頂いて感激です。雲海の 写真は場所、時間や他の条件の設定が難しいと思いますが、こういう所に立って見れば感慨も一入というところでしょう。大 森さんの撮影のための努力と研究熱心を買いました。かなりお疲れになったようですが、健康には注意なさって今後もいろい ろ見せてください。楽しみに待っています。」(by うぐいす)



「桃源」が選んだ「この1点!」

#235d号から、神原幹郎の作品、「スタンレー・パークにて」

作者コメント:   「低気圧と低気圧の間の久しぶりの晴れとなった日、バンクーバー のスタンレー・パークに出かけてデジカメしました。黄葉ばかりを目にしていましたので、こうした紅葉を見るとうれしく なります。楓の一種です。」

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編集委員評:   「元々紅葉が大好きである。従って自分でもよく紅葉を撮る が、どうしても寄った写真が多い。日本の紅葉はやはり1枚1枚が見えるのがいいのではないか。この写真は紅葉 のイメージをすっかり変えてくれた。実に偉大な紅葉であり、堂々としている。日本では欅の古木が天に聳えてい るようで、欅は決してこんなに赤くならない。立派な楓に魅せられました。」(by 桃源)


「無精ひげ」が選んだ「この1点!」

#235c号から、大森保武さんの作品、「合掌造り」

作者コメント:   「白川郷の少し北にある同じ世界遺産合掌造りの五箇山に行って来 ました。ここのいいところは、電柱も電線も総て地下に埋め込まれていて、すっきりした感じの集落であることです(戸数 が少ないことも有りますが・・・)。」

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編集委員評:   「住居はその土地にある材料で、気候風土と家業に合わせて建設され ます。ススキを束ねて屋根の材料にして、雪が滑り落ちるように傾斜をきつくして、雪が凍りつかないように斜面は東西を 向いている。家内作業が出来るように大きな建物の何層にも床か設けられている。近くに色付いた山が迫り、家の裏に風除 けと自家建設用材の屋敷林をもつ、山間の自給自足の厳しい生活環境が伺える、観光地の写真を超えた、必要最小限の主題 を切り取った写真です。」(by 無精ひげ)


「B&W」が選んだ「この1点!」

#231a号から、廣井信男さんの作品、「アゲハ」

作者コメント:   「メルマガへ投稿します。コメントは『大手町で見付けたアゲハ蝶。 何処から飛んで来たのだろう?』。」

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編集委員評:   「大手町のアゲハは非日常性の象徴です。廣井さんはコントラ ストを上げてその非日常性を強調されています。作品提示と鑑賞という共同作業で、作品の抽象度が高ければ高い程 鑑賞者の自由度は増えます。アブストラクトに近いこの写真は筆者の見る限りお互いに無関係な3つのエレメントが 重なり合っています。アゲハ、歩道、そして歩道の表面が想起させる木々の葉と空。まるでアゲハは歩道の空へ戻ろ うとしているようにも思えます。非日常性のもたらす閉塞感が暗示されていますね。そしてアゲハの羽の均整のとれ た美しさが雑然とした歩道表面の模様と鋭い対照をなしています。この写真がもしカラーだったらアゲハの色彩と歩 道表面のパターンの美しさだけで終わったことでしょう。白黒写真の持つ凄みというものを見せつける秀作です。
   廣井さんはとても鋭敏な感覚、優れた芸術性と表現技術を併せ持ったカメラマンです。読者の 皆さんも是非一度廣井さんのウェブサイトを訪ねてみて下さい。 ここです。」(by B&W)


編集委員の投票で選んだ作品(計7点)

#231b号から、藤田正俊さんの作品、「名残の花」

作者コメント:   「9月20、21日は、朝から台風15号の雨で肌寒くなりました。 秋のお彼岸になって、季節もすっかり秋めくことでしょう。川崎市麻生区の夏の名残の草花をデジカメしました。都会近郊の 農村風景が急激に宅地化しています。今年の場所で、来年も同じように花が咲くかわかりませんが、草花は健気に元気してい ます。小田急多摩線沿いのひまわり。散歩コースであり度々訪れてはいましたが、「写真は光の芸術である」からして、向日 葵が咲き揃わなかったり、家を出る時は日が差していてもたどり着いたら雲が厚くなってたりして、花の咲き具合と天候と太 陽の位置が揃わずにいました。秋も終りになり花も一部が散り始めた頃ようやく条件に恵まれ、電車が所定の位置に来るのを 待ってゲットできました。絵画は構図や色彩など絵描きの好みで創作できますが、写真は瞬間の勝負で準備がかかります。」

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編集委員評:   「藤田さんの写真はほとんど人が風景の一部になっている。 人の存在がどうしても必要と考えているのであろう。この写真は人がいないのが特異であり、おやどうしたのかと 考えた。本人の注釈にあるように光を優先して、電車が風景に嵌るまでじっと我慢をした作品であることが分かる。 ひまわりの黄色も虫を曳きつけるための強烈な色であろうが、人間もひきつけられる。人間も自然の一部というこ とか。」(by 桃源)


#220c号から、平井 寛さんの作品、「凱旋門の夜景」

作者コメント:   「Aditional Job が入り帰国が遅れています。 10月中旬頃になると思います。ブラッセル(ベルギー)の凱旋門の夜景の写真送ります。」

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編集委員評:   「平井さんの写真で何度メールマガジンを何度飾って頂いたことでし ょうか。いつも素晴らしい写真に感心するばかりです。おいそがしい仕事の合間に撮って送って頂きほんとうに有難うござ いました。ベルギーといえば発展しつつあるECのセンターのある国ですが、複雑なヨーロッパの国々の離合集散の歴史を 経てベルギー建国50周年(1830年10月4日、建国記念日は7月21日(レオポルド1世が1831年7月21日憲 法にのっとって第一代国王に就任した日)を記念して造られたという公園の入り口にあるそうです。フランスの凱旋門のよ うに戦争とは直接の関係はないようですが、列強を差し置いてセンターが置かれたように歴史を感じさせる立派な凱旋門で す。二人の人が眺め入っているシルエットも風情を添えていてライトアップの効果を良く活かしていると思います。写真が 鮮明なので、門の上には人(ベルギー人)が馬車に乗って国旗を持って立っているのがわかります。これを機会にベルギー やヨーロッパの各国、各民族、王朝の盛衰の歴史を見てみるのも写真の伝える情報を活かす道の一つでしょう。
   参考URLは
http://www.belgium-travel.jp/destination/about_belgium/history.html 。」(by うぐいす)


#224b号から、徳島正雄さんの作品、「秋海棠」

作者コメント:   「家の近くに「岩湧寺」(大阪府河内長野市)という山寺がります が、今年は秋海棠が美しく咲いてくれました。9月中頃の写真です。」

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編集委員評:   「山寺の静かな佇まいのなかに咲く端正な美しさを持つ秋海 棠をみごとに描写した作品です。画面右の石造りの多宝塔が強すぎて鑑賞者の目を花からそらせるむきもあります が、徳島さんがコンシューマー向けのデジカメで撮影されたとしたら、ここらがCCDが比較的小さくレンズの焦 点距離が極端に短いというそうしたカメラの限界(つまり被写界深度が深い)を示す一つの例となりましょうか 。もしこの構図で一眼レフで撮ったら多宝塔がうまい具合にボケて、本来の役割(山寺の雰囲気を醸し出す重要な 構成要素)を発揮することでしょう。
   秋海棠は茶室の庭に好んで植えられるようですが、ウェブサーチによるとその花言葉は「不恰好、 奇形」だそうです。全く相応しくない花言葉ですね。(by B&W)


#232c号から、木村元一さんの作品、「秋の感じ」

作者コメント:   「撮ったところは行き当たりばったりのばらばらです。上野不忍池で 雲が流れてきれいだったので、撮ったのですが、なかなかうまくとれませんね。ハスの葉が綺麗です。」

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編集委員評:   「真っ青な空、やわらかな白い秋の雲、池の植物の緑、池の向 こうのビルが良いアクセントになっていると思います。心地よいバランスで配置されて落ち着きがあると思います。 特に雲の雰囲気がなんとも良いですね。「雲白く遊子悲しむ」を思い浮かべました。文字通り都会のオアシスですね 。ところで、人間の目で見た感じと、写真にしてみると思ったように写っていないことがあります。この写真につい ても、もっと雲は立体的で、ほんわか丸い感じではなかったかと思います。この意味ではまだまだカメラは人間に近 づいていませんね。人間の目で見たままに映るカメラを望むのは間違いでしょうか?(天の声:おいおまえ、文句を いう前にもっと技術を磨け!)ごもっとも。」(by スカイウオッチャー)


#232d号から、廣井信男さんの作品、「反射」

作者コメント:   「メルマガへの投稿です。参考サイトは有りません。タイトル 『反射』。コメント、『太陽の通り道が夏から秋に移動すると同じ時刻・同じ場所なのに初めて見る光景に遭遇出来る。 季節の移ろいを感じる瞬間。』」

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編集委員評:   「ビル、太陽、それぞれ単独では何事もないのに、組み合わされる事 によって時間の流れと光の煌きの一瞬を切り取ったアート風スチール写真ならではの作品になっています。色々な所でお日 さんの反射はありますが、いいなと思ってもなかなか作品にはできません。常時撮影を心がけていないとなかなか撮れるも のではないと思います。東京国立博物館で「煌くダイヤモンド展」を開催しているので買い物ついでに見てきましたが、キ ラキラ光るダイヤの装飾は見事なものですが、この写真の光も風景のダイヤモンドですね。写真を愛する廣井さんの心の篭 った写真だと思います。アート作品をアマチュアの私が批評するのも妙なものですが、いろいろ学ぶ所がありそうです。」(by うぐいす)


#234b号から、椿勝彦さんの作品、「オンネトー、阿寒富士と月」

作者コメント:   「昨日二時間半近くのドライブで「オンネトー」を撮って参りまし た、途中何度か雨の中をくぐり抜け、現地では"雹"が降りました、が、何とか粘って(約四時間(泊まり込みの人や他県から の人も))350枚程撮って参りました、この後整理作業に入ります。今日は素晴らしい青空です、遠景を撮るのには絶好の チャンスなんですが。」

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編集委員評:   「椿さんは北海道をいつも見せてくれる。土着の暖かさが画面 にある。北海道が好きであることが伝わってくる。厳しい自然条件で生活は大変な苦労もあるだろうが、それでも好 きであるのだろう。画面を斜めに横切る三角形が阿寒富士の稜線であるといわれなければ分からないが、月を表現す る技法としてこんな画面は有っただろうか。雲にうっすらと夕日の赤さが残っているところを見ると東に上ったばか りの月なのであろう。輪郭の朧な月が圧倒的な山の稜線に引っ張られているようである。若者がそうであるようにこ の月も何かに頼ろうとしているのか。」(by 桃源)


#235a号から、野澤正之さんの作品、「富士と小鳥」

作者コメント:   「富士山では、先日初冠雪があったそうですね。8月22日と9月 5日に撮った雪のない写真が時期外れになりそうですので、送らせていただきます。富士山5合目から撮った山頂は、PLフ ィルターの効果を最も強くしましたので青空が濃くなって全体に暗い感じに撮れています。」

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編集委員評:   「真白き富士の嶺」と歌われる富士の雪は万葉(3-320)に詠まれてま す。

   不尽の嶺に降り置く雪は 六月の十五日に消ゆれば その夜降りけり

   富士山五合目の標高2000米附近が樹木境界で、氷雪に耐えた針葉樹が盆栽的な造形美を見せてくれてい ます。左下部に枯れ木が横たわりアクセントしています。富士山頂が日中晴天ではっきり見えることは珍しいことで、PLフ イルターで紺碧の青空を強め、白雲と雪の無い山肌を強調したことは正解です。富士山は多くの人が写真に絵画にとらえて いるが、五合目から雪の無い山頂を捕らえた珍しい構図を、この写真はしっかり見せてくれてます。
   富士山は近くでも遠景でも、雪が有っても無くても、日本一の名山です。これからも、素晴らしい富士 山を見せてください。」(by 無精ひげ)



3 今月のデジカメ関連サイト・ピックアップ


   今月のお薦めウェブサイトはカナダのブリティッシュ・コロンビア州に住む 自然・風景写真家、アダム・ギッブス(Adam Gibbs)のホーム・ページです。
   メイン・ページは ここです。
   アダム・ギッブスは英国生まれで、少年時代から山登りを始め、それが昂じてカナダに移住し、 北アメリカの山々を登っていました。カルフォルニアのヨセミテ公園の登山旅行中にアンセル・アダムスのギャラ リーに足を運んだのがそもそものきっかけで写真家となりました。
   その素直な作風はその人柄から来ていると思います。例えば、アダム・ギッブスは構図を考え るのに一番重視しているのは「バランス」だと言います。また、先月号でご紹介したフレデリック・ジョーイと同 じくフィルターは使わないで自然体で撮るように心がけているということです。風景写真を撮る最適の時間帯は夜 明けと日没時ですが(これは定石)、アダム・ギッブスも特にこの時間帯を好み、それは暖色と寒色(青い影)の 対比が美しく出るからだと理由付けしています。
   撮影機材は、軽く、頑丈なTohoのFC−45XとMamiyaの645AFD(フィルム 及びコダックのデジタルバック)。近接撮影や花の写真、山行きでも重い機材を持つのがいやな時はデジタルカメ ラや35mmを使用するということです。構図を決めるのに彼が使うテクニックは、カメラを三脚に置かないで。 動き回りながらファインダーで風景を眺めるというものです。大判写真ではさすがこれが出来ないので、焦点距離 を変えられる特別なビューアーで覗きながら大体の感じを掴むそうです。
   山男だからこそ人の行けない場所に到達して、その場所でしか望めない風景を鑑賞する者にも たらすという優位性を持つのですが、本人は「偉大な写真を撮るために遠くへ行く必要はない。身近な自然の全て に美があり、適切なタイミングにその美が表れる。」と言います。そして自分の役割は、自然の持つ重要な意味を 人々に伝えたいとしてます。謙虚な姿勢ですね。(そういえばこの月刊によく写真が掲載される加古川の平井さんも、 重いテントを担いで山に入り、我々の行けない場所の写真をご披露して頂いていますが、ご本人はそれを吹聴され ることがないですね。)

   New Imagesはここ
   Galleryはここ



4 今月のおすすめフリーソフト

   本欄では、デジカメ関係のフリー・ソフトをご紹介する趣向です。
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   今回は恐らく日本では初紹介となるシャープニングソフトのSharp Control (シャープ・コントロール)をとりあげました。このソフトは英国のデジカメサイトDigital Photography Reviewのディス カッション・フォーラムで取り上げられ人気を得ています。ダウンロードは ここから。

   デジカメ人の間では、画像をしゃきっとするのにUSM(アンシャープ・マスク)は頻繁に使われており 本誌第5号の「デジカメ技術のおさらいレッスン」でもとりあげました。
   高級画像ソフト、例えばフォトショップ、を使用しているプロやハイアマチュアでは、かなり複雑な USM操作を行なう人もいて、例えばRGBカラ−スペースをLabカラースペースに変換してLabの各チャンネルに 操作を加え(a, bチャンネルにガウスぼかしをした後、Lightness(輝度)チャンネルにUSM)、これをまたRGBに再変換して 更にUSMをかけ、最後にもう一度USMをかけた後にフェイド(戻し)・コマンドとガウスぼかしで絵を整える、などという技法 が用いられています。注記: カラースペースについては月刊第10号の「おさらいレッスン」を参照して下さい。
   今月号でご紹介する「シャープ・コントロール」は、USMより更に強力なアルゴリズム(数学、 コンピューター、画像処理によく登場する言葉ですが、単純に「算術」という意味です)を使って、上記のような複雑な 手続きは「おまかせ」で、すばらしいシャープニング効果が得られるフリーソフトです。作者の"Vtie"さんは自分の余暇時間 を使ってソフトの開発をされたわけですが、使用者の多くが「商用ソフトとして売り出したら」と勧めるくらい立派なソフト です。高価なフォトショップなど手が届かないという我々素人には願ってもないソフトだと思います。"Vtie"さんは多分 "Applied Maths"(応用数学)という会社の従業員ではないかと思いますが、ご自身はこのソフトは医療・生物科学関係の イメージ処理技術からヒントを得たと示唆しております。
   特徴としては、

(1) アルゴリズムは、輪郭の周り(ハロー)、人工的なハイライト、ノイズ増幅、を制御するのにフィードバック値 をかえして反復計算で最適値を求める。
(2) 数値をまるめないで、各32ビット(x3)を内部演算する。
(3) エッジ確認演算子でエッジのみの処理適用ができる。
(4) シャープニングはカラーシフトを防ぐ為、HSIカラースペースのIチャンネル(I:Intennsity強さ)で行なわれる。 完全なRGB>HSI>RGBの可逆変換を保証するために、計算では、簡易計算式は使わず、完全計算式で32ビット 内部演算。
(5) インプット値のIterations(反復)の計算には”Van Cittert"法を使用。

   上記のVan Cittert法を使った例では、天体写真のイメージを鮮明にする商用ソフトAIP4WIN があります(このソフトと同じ事をしているわけです)。AIPの例として、 ここを御覧下さい。数学が好きな方は ここを御覧 下さい。
   Van Cittert Deconvolutionは、「バン・シタート氏法たるみ・しわ取り術」とでも訳しておきまし ょうか。(^_^)イメージファイルのエステですね。これは冗談です。
   Convolution(コンボルーション)は巻き込むとかたるんで重なり合うとかいった感じの言葉ですが、数学 では簡単に言うと一つの関数が別の関数と重ね合わされることで、畳み込み計算法などといわれます。デジカメで言えば、光 という信号が電気的信号に変換されるというプロセスでは、入力信号にセンサーシステムの瞬時応答が重ね合わされたもの と言えるでしょう。ではDeconvolutionとはどういうことでしょう。Deがついているので重ね合わせの逆で、重ね合わされた ものを分解するものと想像できますね。重ね合わされたものが正しい画像の情報と余計な画像の情報(例えばブレ)に 分解する計算法がDeconvolutionでしょうか。Van Cittert Deconvolutionは先の例に挙げた望遠鏡でのイメージや、生物科学 に不可欠の顕微鏡でのイメージの鮮明化に使われています。
   優れたシャープニングのこつは、カラースペースの変換と反復計算にあるということですね。例を見てみま しょう。
   まずボケボケの写真。被写体は西陣織です。原画を縮小してあります。
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   原画の一部を100%ブローアップしたものがこれです。
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   次は、「シャープ。コントロール」のディフォルトの値、Radius(半径)2.00ピクセル、Intensity(強さ) 200%、Control(コントロール)80%、Edge(エッジ)80%、Iterations(反復)1、で処理した100% ブローアップの写真です。
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   次は、値を変えてみました。Radius(半径)0.56ピクセル、Intensity(強さ) 94%、Control(コントロール)80%、Edge(エッジ)40%、Iterations(反復)14、で処理した100% ブローアップの写真です。
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   どうでしょうか。アンシャープ・マスクにありがちな輪郭に出来る人工的な色が抜けた領域 が出来ず、自然な感じを残すすばらしいシャープニング効果ですね。シャープニングの度合いを見ながら入力値を変えられる ので、初心者の方にでも簡単に操作できるソフトです。
   例によって例の如く、コンピューターの超初心者でも出来るようにソフトの解凍から使用、ファイルの 保存までを詳細に説明したページを作りましたので御覧下さい。 シャープ・コントロールの使用法をクリックしてください。
   このソフトが読者の皆様の常用ソフトとなることを願っています。



5 デジカメ技術のおさらいレッスン

   この欄は、読者の皆さんが身につけたデジカメ技術の基本を、もう一度おさら いすることを目的にしております。今月は先月に引き続いて「色の道」のお話、今回は「色温度」についてです。

   「色温度」は第7号の「ホワイトバランス」の説明(正しくはリンク・ サイトでの説明)で触れておりますが、改めておさらいをしてみましょう。
   「色温度」の定義ですが、ヤフーグループdgckで藤田正俊さんが極めて簡潔に纏めておら れます。「色温度とは物体または天体の可視域での輻射が、黒体輻射であると仮定して、その輻射の色から推定さ れる温度。物体の真の温度よりは高い。」そしてその単位として、「<K>度(デグリィ)ケルビンで表示される。例 えば、鉄を加熱してゆくと、黒い鉄が暗い赤から明るい赤になってゆき、輝き出して白熱の閃光になってゆくよう に、数値が高くなるほど光り輝き白色になってゆきます。」
   黒体は物理学では光の吸収が100%の物体(反射はない)という概念です。その物体がある 温度において放つ(輻射・放射)色によってその温度を「推定」するわけですね。ケルビンは絶対温度の単位で、 絶対温度というのは、我々が通常使う温度単位の摂氏で表すと物理化学上約ー273度以下の温度は存在しない ことからこの温度を0度とした単位です(目盛りは摂氏と同等)。ですからケルビンの約273度は摂氏0度となり ます。
   それでは「色温度」と実際の我々の持つ感覚としての色との関係を見てみましょう。 これをご覧 下さい。1000Kで赤、2800K〜3200Kで橙〜黄、5000K以上で水〜青となります。5000K からその少し先まで白に近いですね。緑を表せないということに御注目下さい。星で言ったら、赤い星は温度の 低い星つまり古い星で、青い星は温度の高い新しい星ということですね。色温度の代わりにミレッド (MIRED)という数値が使われることがあり、これは色温度の逆数を百万倍した数値だそうです。
   ではこの「色温度」は我々銀塩人・デジカメ人にとってどのような意味があるのでしょう。 まず撮影の際にはその時の「色温度」に合ったフィルム又はフィルター、もしくはホワイトバランスを用いなけ ればなりません。フイルムでは昼光・ストロボ用(色温度5500Kに設定)かタングステンライト用(色温度 3200K又は3400Kに設定)、フィルターでは80A(昼光・ストロボ用フィルムでタングステン光の 被写体を撮る)とか85B(タングステンライト用フィルムで昼光の被写体を撮る)ものとか、 ここで見られるように もっと細かい色温度の補正をするものもあります。デジカメならば既刊第7号でおさらいをしたようにホワイ トバランスを昼光、曇り、日陰、タングステンライト、蛍光灯等に合わせます。
   また、デジカメ・イメージをモニターで見る場合、そのモニターの色温度を適切なものに します。本月刊第9号でご登場願ったプロカメラマンの山田さんは、「画面とプリントの色を合わせたいとい う要望は皆さんお持ちと思います。そのことを重要視したい方には、(モニターの色温度では)6500K は必須です。」と述べられています。モニターの色温度は日本では工場出荷時に9300Kに合わしてある ことが多いのですが、読者の皆さんのモニターの色温度を変えられることが出来るなら、デジカメ・イメージ を扱う場合は6500Kに設定するのが良いでしょう。前掲の相関色温度の図でも、9300Kはかなり青色 の領域に入っており、感覚的な話ですが、6500Kの白色域と比較したら色合わせに無理が出るのではないか と思います。ちなみに9300Kの色温度設定は家庭用テレビのブラウン管のものです。



6 編集後記


 「月刊デジカメ作品第11号」いかがでしたでしょうか?

   秋もだんだん深まり、ヤフーグループのdgckでも紅葉の撮り方に ついて活発な意見の交換がなされています。順光、半逆光、逆光、晴天、曇天、雨天、それぞれの光の状態で美しい 写真は撮影できますが、重要なポイントは正しいホワイトバランスの設定にあると思います。晴天では青空 は重要なエレメントに成り得るのですが、曇天では灰色の空(デジカメでは白い空に写ります)が画面に入るとなん なく間の抜けた写真になりがちですね。曇天での撮影は、山田さんがおっしゃっていますが、光の方向性が 無い為自由なカメラアングルが選べること、また、色が飽和すること(彩度が高まる)、ホワイトバランスの設定 によっては赤、黄の色彩が深まる、柔らかい光で影の部分のディーテイルもはっきりしてくる、といった利点 があります。写真が最も美しく撮れる時、早朝や夕暮れ時は、アダム・ギッブスが言っているように光と影の ひだが浮かび上がり深みのある写真が撮影できることでしょう。またホワイトバランスを曇天に設定して赤 を強調することができます。読者の皆さんも時を選ばず、カメラを持って外に出て、カメラの設定を様々に変え てみて、とにかくシャッターボタンを押して試して下さいね!!

   より良いメールマガジンを作り上げようと思っておりますので、皆様のご意見、ご批判、お励まし、お待ち しております。

 どうぞメール・マガジン「デジカメ作品交換会」にふるって御投稿下さい。
 メール・マガジン「デジカメ作品交換会」の最新号は
http://www.dgck.net/index.html
でご覧いただけます。またメール・マガジンの登録・解除と、読者でつくるe-グループ、 「dgckグループ」の入会も出来ます。

 月刊誌の編集委員も募集しています。是非ご連絡下さい。編集局のメールの宛先は、 木村 又は神原です。
 既刊をご覧になりたい方はここをクリック

   デジカメ作品交歓会200号記念CD−ROMを纏めました。 創刊から200号までをおさめてあります。ご希望の方は送り先を連絡ください。

 それでは皆さんの力作、楽しみにしています。ごきげんよう!


「月刊デジカメ作品」編集局
発行責任者:木村元一
編集責任者:神原幹郎
編集委員:うぐいす、無精ひげ、桃源、風来坊、スカイウオッチャー、B&W