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メールマガジン「デジカメワークス第67号」

Mail Magazine「Digicamworks

特別記事「カーク氏(R.D.Kirk)によるキヤノン・オートフォーカスについて」

翻訳 by 有地 良祐氏(横浜市)・平成20年5月

   (Canonによる“Lens Work III”, 同社米国特許申請書、Chuck Westfall氏のコメント等を基にしています)

   

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   CanonのAFシステムのセンサー(複数)は、ミラー・ボックスの低部に置かれています。センサーは、軽く銀メッキされた 鏡を通して、像を受け取ります。像は、それから、主鏡の裏側にヒンジを介して取り付けられた二次鏡によって、下の方向に反射されます。この二次鏡が、セン サーの平面と正確に同一面となるべき仮想焦点平面を形成します。(ここが、カリブレーション誤差を生ずる可能性のある部分)

   各々のAFセンサーは、短い二本のラインに並んだ画素の列(アレー)で構成されていて、一つの列は、外縁のセンサーを構 成しています。二つの直交(一つは垂直、一つは水平)したアレーが中央のAFセンサーを構成しています。f2.8より明るいレンズを使用する場合、中央に ある二つ目の垂直アレーが自動的に起動されます。

これらのアレーは、アレーの方向に対して垂直に並んだ線状の対象に対して感度が敏感です。従って、水平アレー(ファインダー・スクリーン上の水平な長方形 マーク[AFフレーム]が示す)は、垂直に並んだ線状の対象物に対して敏感です、また、垂直アレー(ファインダー・スクリーン上の垂直な長方形マーク [AFフレーム]が示す)は、水平方向に並んだ線状の対象物に対して感度が敏感です。

   これらのセンサー・アレーは、アレーが並ぶ列と平行な線状の対象物に対しては、感度を示しません。中央のアレーは、 垂直に並んだアレーと水平に並んだアレーが直交しているので、水平方向及び垂直方向に並んだ線状の対象物の両方に対して感度が敏感です。中央にある二つ目 の垂直アレーが起動された場合は、二つ目の垂直アレーからのインプットにより、精度が3倍になります。

   画素アレーは、ファインダー・スクリーン上のマーク(AFフレーム)が示す長さよりも、実際には、3倍の長さを持って います。これは、ファインダー・スクリーンが水平面での位置合わせ(ファインダー通して見える右/左/上/下)にかなりの「いい加減さ」を持っていること を補う為です。従って、画素アレーは、ファインダー上のマーク(AFフレーム)よりも幾分か外の対象物も実際は見ていることになり、もしもこれらのフレー ム外の対象物の細部の方がセンサー・アレーに対してAFフレーム内の対象物の細部よりも垂直である場合には、センサーは、AFフレーム内の対象物ではなく、 外の細部に焦点を合わせる可能性があります。

   レンズをカメラにマウントすると(カメラがonでもoffでも)、カメラはレンズに、焦点を決めるパラメーターの一つ である最大絞り値を含めて、レンズの特徴を要求します。

   シャッター・ボタン(もしくは、もしカストム機能を使用して他のボタンに焦点コントロールを移動したならそのボタン) を半押ししたとき、起動されたAFセンサーは、レンズにより投影された像を二つの異なった方向(二本ある画素のアレー(列)は、それぞれ反対の方向から)から 「見て」、各方向からの光のフェーズの違い(位相差)を検出します。一度「見る」だけで、カメラは、検出した位相差を打ち消す為にレンズをどの方向にどの位の 距離を動かさなければならないかを計算します。そして、レンズに必要な移動距離と方向に移動することを命令し、停止します。カメラは、最適な焦点を「探し回る」 ことはしないし、一度レンズが動いた後もう一度見直したりすることはありません(「オープン・ループ・システム」です)。

   もしも、始動した場所が実際の焦点位置とはかけ離れた場所であったときは、センサーは位相差を検知できないで、カメラは 検知出来る差異を見つける為にレンズを一度前方に送り出し、それから後方に引き戻します。もしもその動作の中で、検知出来る差異を見つけられなければ、カメラ は停止します。

   カメラは、意図した焦点が得られたかどうかを「再度確かめる」ことはしませんが、レンズ自身は、カメラ が命令した方向と距離を移動したかどうかを「再度確かめます(クローズド・ループ・システム)。 この二度目のチェックで、レンズの焦点機構のズレや、バック ラッシュを修正します、そして通常は、最初に大きくレンズの鏡胴が移動した後で小さな「修正」動作が起きるのでこれが分かります。

   カメラがレンズから投影された像の位相差を打ち消す為にどの位どの方向にレンズを移動させなければならないかを決めたら、 カメラはその動作をf2.8より暗いいレンズ(f5.6まで)ならそのレンズの「焦点深度」の許容範囲内で、またf2.8からより明るいレンズの場合はその レンズの「焦点深度の1/3以内」で行います。焦点深度とは、一つの点の像がAFセンサー面上で、メーカーの指定する「錯乱円」(CoC:)よりも小さい不 鮮明な像として再生されるような範囲のことを意味します。Canonの指定する錯乱円は、24x36mmのフォーマットに対して0.035mm、APS-Cフォーマットに対して 0.02mmです。

   この錯乱円は、(Euro-Canon web siteによると)約10インチの距離(明視の距離)から見て、6x9インチのプリント 上で、シャープネスが保たれることを基本としています。このプリント・サイズよりも少しでも大きく引き伸ばされた像の場合、シャープネスは、保証されません。

   焦点深度は、レンズの絞りが小さくなれば増大します(被写体平面の被写界深度と同様)、しかしながら、合焦距離もしくは レンズの焦点距離によっては変化しません(Canonによれば、「被写界深度のようにではなく」)。カメラがレンズに関する情報を要求するのは、このためです; 即ち、カメラは、設定された撮影絞り値からではなく、レンズの最大絞り値から焦点深度の許容範囲を計算するからなのです。

   このようして決定された許容範囲(焦点深度の範囲内もしくは焦点深度の1/3以内)によって、カメラはこの許容範囲内 の何処にでも無作為に実際の焦点平面を置くことが出来ます、そして毎回必ずしも同じ位置にということもありません。


   Focusingに関する情報の非網羅的リスト:


   1.ファインダー内の中央にある正方形のAFフレームは、水平方向に置かれたセンサーと垂直方向に置かれたセンサーの 両方を表しています、従ってこのフレームは、対象の垂直及び水平の線の両方に焦点を定めることが出来ます。外側にあるAFフレームは、その形状によって、 垂直方向もしくは水平方向に置かれたセンサーのどちらかを表しています、そして各々の方向に対して垂直な対象物の線に対して最もよく合焦します。これは、 簡単にテストする事が出来ます。垂直な長方形のAFフレームを壁のコーナーやドアのエッジのような垂直な対象物の細部に合わせて焦点を合わせようとして 見て下さい。カメラは対象には焦点を合わすことが出来ないはずです。しかし、同じ垂直の線に水平な長方形のAFフレームを合わせてみて下さい、カメラは 瞬時にピントを合わせるでしょう(カメラを回してみて下さい、同じことが起こるでしょう)。これは、非常に役立つ道具立てです。もしも、前景と区別が付 かない背景で苦しんでいるような場合、どちらかに線分を構成する細部がないかどうかを見つけます、(例えば枝の上にいるリス)。そして、長方形のAFフ レームの一つを起動して、カメラを回しAFフレームが無視しようとする対象の細部に平行になるようにするか、焦点を合わせようとしている対象物の細部に 垂直になるようにすればよいのです。

   2.AFセンサー・アレーの実際の大きさは、ファインダー・スクリーン上にあるAFフレームの三倍です。もしユーザ ーが狙った被写体をAFフレームの中に納めることが出来たとします、しかし、(センサーのエリア内にあるけれども)AFフレームの外に強い細部があれば、 カメラはその強い細部の方に焦点を合わせようとします。このことが、前ピン−もしくは、後ピンの苦情の多くの元になっています−−特に「物差しを利用し たテスト」のような場合です。そして、カメラに関する限りでは、センサー・エリア内にある何にでもピントがロック・オンするのはよいことなのです、それ が時によっては、ユーザーが意図したエリア以上をカバーしてしまうことがあるのです。

   3.EOS 20DのAFの場合、(レンズからカメラに伝えられた情報によって計算された)最大絞り値がf5.6、 もしくはそれ以上のレンズでしか作動しません。このことは、レンズの最大絞り値のことで、ユーザーが撮影しようとして設定した絞り値ではありません。 f5.6より暗いレンズでは、マニュアル・フォーカスを使用しなければなりません(レンズを騙して、カメラに正しくない絞り最大値を伝えない限りですが。)

   4.20Dでは、中央のAFフレームは精度を10Dの三倍に増す為に追加のセンサーをもっています。しかし、これら のセンサーは、f2.8、もしくはそれ以上の最大絞り値を持つレンズを使用しないと起動しません(これは、撮影のために設定した絞り値ではなく、レンズ の最大絞り値です。) ズーム・レンズで絞りが可変なものについては、ズーミングしている際に絞り値がf2.8よりも下になれば、その情報はカメラに伝 えられ、追加のAFセンサーの起動が止められます。20Dの外周にあるAFセンサーは、通常の精度です。

   5.カメラのAFセンサーは、位相差を検出するために被写体の像にある程度の細部があることを必要とします。光が少 ないか、被写体の細部が見えない場合は、カメラは焦点を合わせるのに苦労します。最近別の話題で述べられていたこととは異なり、AFセンサーは、人間の 目が可能なように、同等の明るさを持った赤色と緑色の色調のコントラストを識別することが出来ます――センサーは、色補正をされています。センサーは、 かなり微妙は細部の差異を識別することが出来るといっても、人間の目ほどシャープではありません。もしレンズが大きくピントがずれた状態から立ち上が ったとすると、人間の目でははっきり見える非常に細かい部分を見ることが出来ないことがあります。例えば、スピーカー・グリルの布目を部屋の反対側か ら見るような場合です。このような場合、手でおおよその焦点を合わせ、あとカメラに実際の焦点を合わすことをさせれば解決できるでしょう。


   6.AF コントロール

   シャッター・ボタン:
初期設定によって、シャッター・ボタンを半押しすると、カメラは起動したセンサーを使ってAF センサーのエリアないにある最もコントラストの強い部分に焦点を合わせるでしょう。カメラがその焦点距離を保持するかどうかは、どのAFモードを使用し ているかによって決まります。

   AE/AFロック・ボタン:
*印の付いたボタンがカメラの裏側の右親指の届くところにあります。このボタンをカスタ ム機能メニューによってフォーカス・ボタンとして設定することができます。(20D:CF4で、オプション1を選択します)このように設定したら、ファ インダー・スクリーン上のAFフレームを選択された被写体に置いて焦点を合わせ、*印の付いたボタンを押します。カメラは、選択したスポットに焦点を合 わせ、もう一度ボタンを押すまで、焦点は変わりません。AIサーボ・モードでは、カメラは、*印の付いたボタンを押し続ける限り、焦点を継続的に追い続 けます。

   マルチコントローラー(ジョイボタン)とAF選択ボタン:
これらのコントローラーと電子ダイアルによって起動するAF フレームを選択することが出来ます――これらのコントローラーと電子ダイアルの組合せで同じことを行うのに色々な方法が提供されています、従って随意に 自分の好む方法を選択できます。自分で、好む焦点ポイントを一つ選択することも、焦点を合わせている時にカメラに自動的に焦点ポイントを選択させること も可能です。カメラが焦点ポイントを選択する場合、カメラは、通常カメラは自分に一番近いところにあるポイントをいくつか複数選びます。この方法が適する 唯一のケースは、(動き回るサッカー選手のような)素早く動き回る被写体にピントを合わせようとしている時だけです。その他の場合は、通常ユーザーが自分 で合焦ポイントを選択する方が良いでしょう。20DのAFフレームで対角線に配置されたものは、構図の「1/3ルール」上の交点に非常に近いので、 (被写体をフレームに納めるときに、この構図ルールを使っているなら)時には対角線に配置されたAFフレームを利用すると便利なことがあります。

   7.AFモード: 

   One−Shot:
カメラを「One−Shot」モードにセットした場合には、「被写体は、全く動いていない」という条件を設定 したことになります。カメラは、「焦点優先モード」になります。シャッター・ボタンは、カメラが最適フォーカスであると判断焦点が得られるまでロック されます。この状況は、もしも狙った被写体とカメラが微動だにしないならば最適な状況です、何故なら、この設定ではカメラが自動的にピント合わせをし 直すことなしに、焦点を合わせ構図を変更することを可能にするからです。

   AIサーボ:
    カメラをAIサーボ・モードに設定した場合、「被写体は確実に動いている」という条件を設定したこと になります。カメラは、「シャッター優先モード」になります。従って、カメラは、被写体の動きを予測する為のデータを継続的に集める機械的な手続きに入 ります、そして被写体をその新しい位置で捕捉するためにレンズを動かします。焦点が合っていなくても、撮影することが出来ます(しかしながら、カメラは、 レンズが実際に動いている最中は、シャッターをレリースすることはできません)。もし、被写体が決まった動きをすることが分かっているなら、このAF モードは最適です。もし被写体が実際は動いていないとしたら、カメラが機械的なデータ収集のルーティーンを行うときに、ピントの合っていないショットを 撮ってしまう可能性が多くなります。しかしながら、(撮影者が必然的に体を前後左右に揺らので)AIフォーカスがその体の揺れを検知し、修正しようとす るため、手持ちのカメラは度々自動的にうごきます。AIサーボは、撮影者が起動したどのAFフレームでも使用します。しかし、撮影者が全てのAFフレーム を起動したとしたら、中央のAFフレームを被写体に合わせなければなりません、そして、正しい被写体をカメラが「捕捉」するように、シャッター・ボタン を半秒ほど半押しする必要があります。その後、シャッター・ボタンが半押しされている間に、カメラは被写体がファインダー・スクリーン上を「移動」する に従って、インテリジェント制御によって被写体を一つのAFフレームから次のAFフレームへと「伝達」してくれます。

   AI フォーカス:
   カメラは、通常One−Shotモードに設定されています、そしてシャッター・ボタンはカメラが焦点を合わせるまでロックされます。 しかし、もしカメラが被写体が動いていることを検知したら(即ち、被写体が焦点からはずれたら)、カメラは自動的にAIサーボ・モードに入り、焦点を維持 しようとします。(小さな子供のような)度々じっとしていて、急に動くことがあるような被写体を撮るような場合には、このAIフォーカス・モードは、便利 です。AIフォーカスについて大事な事は、このモードはシャッター・ボタンをロックしないということです。しかし、カメラは通常、被写体の動きに従って 「焦点を合わせ、画面の組み立て直し」をする必要があると解釈して、再度焦点を決め直します。


    http://www.fredmiranda.com/forum/topic2/228079/0#1877222


   これらの情報は、主に以下の五つの資料から集めたものです:

   1. Canon's "Lens Work III" book (glossary, mostly) キャノンの「レンズ ワーク III」(ほとんど用語解説から)

   2. Canon's latest application for a US patent on their autofocus system キャノンのオートフォーカス・システムに関する最新米国特許申請書 Go to www.pat2pdf.org and enter patent # 6,603,929

   3. Canon's pamph let on getting the most from EOS DSLRs キャノンのEOS一眼レフ機に関するパンフレット、 www.photoworkshop.com/canon/EOS_Digital.pdf

   4. Canon Professional Services European web site FAQ キャノン・ヨーロッパの職業写真家向けサービスWEB サイトのFAQ www.cps.canon-europe.com/faq/index.do

   5. Lots of methodical observation and practice with the camera. その他多くの系統だった観察とカメラ操作の練習結果。


   RDKirk氏は、更に以下のように続けている:

   「もしカメラが実際の焦点平面を焦点深度の範囲内に置いた場合、被写体上の意図的に選択した焦点平面は、 6x9インチのプリント上で、10インチの距離(明視の距離)から見て「シャープに見える」はずです。「高精度モード」では、意図的に選択 した焦点平面は、約11x14インチのプリント上で、10インチの距離から見た時、「シャープに見える」はずです。

   この基準は、良く理解する必要があります。もし、貴方が高精度モードを使用して、モニター上でオリジナ ルの画素解像度の100%で画像を見ようとするとき、実際の焦点平面と意図した焦点平面とが一致するものと期待しないで下さい。必ずしもそ のようにはならないのです――ただ、標準的な最終ディスプレー上の拡大寸法で、標準的な距離から見た場合、「シャープに見える」ことに十分 近づくように意図されているというだけです。もしも十分にそれが出来ていたら、狙った通りのいい仕事をしてくれているという事です。

   もし標準的なAF精度で撮影している場合には、カメラは焦点深度範囲内にあるどの様なポイントでも喜ん で受け入れます、(そして、毎回同じ所を必ずしも選択するとは限りません――このような状況の下では、適度ないい加減さが「許容範囲 (トレランス)」の意味する所です)。

   もし、標準的な最終ディスプレー・サイズと明視の距離以上の条件の下で最適のシャープネスを必要とする ならば、マニュアル・フォーカスを行う必要があるでしょう。しかし、オートフォーカスの場合でさえ、マニュアルのスプリット・イメージ・ レンジ・ファインダーを使用するテクニックと同じようなテクニックをかなり身につけなければならない事を、ユーザー自身が理解していないこ とに、多くのピント問題は起因しているのです。


   このフォーラムで一人の方がシグマ社のe―メールを披露してくれました、それには、キャノンのカメラは、 レンズが焦点を合わせる為に動かなければならない方向によっては、到達した焦点深度の最初の部分で停まってしまう傾向がある、というもので した。小生が色々行って見た結果ではこれは実証出来ませんでした、またこれはキャノンがそのAFシステムがどの様に動くかを説明している事 と合致していないと小生は考えます。」