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メールマガジン「デジカメワークス

Mail Magazine「Digicamworks

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第7号/N7

平成18年03月06日発行(Mar 06, 2006)

ホームページは/Home Page http://digicamworks.net/


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予告:次号は3月10日前後に発行予定です。(^v^)

目次

目次クリックすると各作品へジャンプします
デジカメ技術解説 ・デジカメの露出に関する新しい考え方・「右寄りの技法」
   A.常識を破ろう!
   B.デジカメの設定に気をつけよう!
   C.ヒストグラムとコントラスト
   D.デジカメLCDヒストグラムのその他の特徴
   E.結論
編集後記

   1.デジカメ技術解説 ・デジカメの露出に関する新しい考え方・「右寄りの技法」 by 神原幹郎

   デジカメ画像では白とびの部分はいくらレタッチで頑張っても白とびのままで 画像情報は失われており、黒つぶれと思われる部分では明度を上げると驚くほどの画像情報があることが観察されています。 これらのことから、デジカメ撮影での露出決定の際従来から薦められてきた撮影法は:

   1.白とびを極力排すること。
   2.従って露出補正を(常に)アンダーにしておくのが良い。
   3.レタッチは必須なので出来るだけRAWで撮影し画像の破綻を最小限にする。

   この方法は一見理に適った方法で、場合によっては最適な方法となる場面もあるでしょう。

   しかしながら画像全体の質を高め、ノイズシグナルを軽減するという観点からはこの アプローチは全く間違であるといえます。

   この技術解説では「画像全体の質を高め、ノイズシグナルを軽減する」という 考えを基本にしたデジカメの露出に関する考え方を論じてみたいと思います。ここでは特に画像形式をRAWに 限り、RAW現像時に画像調整を行うという前提でお話をいたします。

   「新しい考え方」といささかセンセーショナルな題をつけましたが勿論下記に述べる 技法を経験上編み出して実践されている方は結構いらっしゃるのではないかと思います。(^v^)

   A.常識を破ろう!

   下のヒストグラムをご覧下さい。読者の皆さんはどちらのRAW画像が 優れていると思いますか?

Hist1.jpg
ヒストグラム1
Hist3.jpg
ヒストグラム2

   勿論左側ですね。ヒストグラムの山が中央にあるしそれに右側(白) がはみ出ているいるようだし、、、、。でも本当でしょうか?

   では次の画像をご覧下さいどちらが優れていると思いますか?

s-AA.jpg
画像1
s-AC.jpg
画像2
AACrop.jpg
画像1の100%部分拡大
ACCrop.jpg
画像2の100%部分拡大

   勿論右側ですね。左側に比べてノイズの量が遥かに少ないです。

   実はヒストグラム1は画像1のもの、ヒストグラム2は画像2に 対応しています。勿論ヒストグラム2(画像2)はそのままではハイキー画像ですからRAW現像の際にはマイナス露出 補正(−1.2EV程度)をしてほぼヒストグラム1と同じ形にしています。

   撮影データを見てみましょう。

画像1 画像2
ISO1600,1/30秒、F8.0、露出補正0、75mm ISO1600,1/25秒、F8.0、露出補正+1.67EV、75mm

   大きな違いは写真2の場合は露出補正をプラス側にし、ヒストグラム では明るい側(右側)の範囲から越えるか越えない位に思いっ切り明るく撮影したこと(+1.67)、 上述のようにRAW現像でマイナス補正をし(−1.2)撮影時に補正をかけない状態に戻したこと、です。 +1.67とー1.2の数字の食い違いは計算上そうなるとだけ述べておきます。

   上記から明らかになったことは:

   1.デジカメが決めた適正露出を無視し、
   2.ヒストグラム上でぎりぎり右に寄せるプラス露出補正をし、
   3.RAW現像でマイナス露出補正をしたら、
   4.画像情報の多い、ノイズの少ないきれいな画像が撮れる。
   5.右に寄せるのも少しぐらいはみ出ても大丈夫!

   「画像情報の多い、ノイズの少ないきれいな画像」というのは 画像情報はヒストグラムの右に行けばいくほど多いという事実を背景にしています。専門的に表現したらS/N比 がより優れているということですね。経験上「高ISOでの撮影ではなるたけ明るく 撮った方がノイズが少ない!」と言われているとおりです。

   「右に寄せるのも少しぐらいはみ出ても大丈夫!」というのは 数値を基にした発言ではないので余り説得力がありません。少しでも論理的かつ視覚的に考察してみましょう。

   B.デジカメの設定に気をつけよう!

   まずはデジカメ(この場合デジタル一眼を念頭に置いています)の ヒストグラム表示のデータについてお話します。

   下の画像を見比べて下さい。

   
s-4.jpg
画像3
s-7.jpg
画像4
s-200-1+0.jpg
画像3のヒストグラム(デジカメLCD)
s-200-2+0.jpg
画像4のヒストグラム(デジカメLCD)
Hist4.jpg
画像3のヒストグラム(RAW現像ソフト)
Hist7.jpg
画像4のヒストグラム(RAW現像ソフト)

   画像3も画像4も全く同一の条件で撮影されています。撮影時刻も 2分しか違わず光の状態に違いはありません。RAW現像ソフトに表われたヒストグラムは全く同じです。 唯一違うのはデジカメのLCDに表示されたヒストグラムの形が違います。

   では次の画像を見比べて下さい。

   
s-6.jpg
画像5
s-9.jpg
画像6
s-200-1+167.jpg
画像5のヒストグラム(デジカメLCD)
s-200-2+167.jpg
画像6のヒストグラム(デジカメLCD)
Hist6.jpg
画像5のヒストグラム(RAW現像ソフト)
Hist9.jpg
画像6のヒストグラム(RAW現像ソフト)

   画像5と画像6は画像3と画像4をそれぞれ+1.67EV露出補正 したものです。これらも全く同一の条件で撮影されています。撮影時刻も 2分しか違いません。RAW現像ソフトに表われたヒストグラムは全く同じです。 唯一違うのはデジカメのLCDに表示されたヒストグラムの形が違います。画像5のLCDヒストグラムの方がRAW現像 ソフトに表われたヒストグラムの形によく似ています。更に画像5のデジカメのLCDに表示されたヒストグラム では右側の端は少し余裕があるほどです。これに比べて画像6のデジカメのLCDに表示されたヒストグラムでは 右端が切れていて、これは白とびが発生したというシグナルです。実際ヒストグラム横の画像では白とびした( とデジカメのコンピューターが錯覚した)部分が黒くなっています。が、現実的には白とびは見られません。これは LCD上のヒストグラムの性格と、RAW画像の持つ”余裕”が関連しています。

   これから述べることは重要です!

   実は{画像3及び画像5}と{画像4及び画像6}の大きな違いはデジカメの設定にあり、 それは撮影 パラメーターで{画像3及び画像5}ではコントラストを最低に{画像4及び画像6}では最高にしているのです。

   ここで読者の皆さんからこういう疑問が起こることでしょう:

   「RAWで撮っているのだからパラメーターをどのように設定しても 画像には影響がなく、従ってヒストグラムにも影響が無いのではないか?」

   お答えはYesとNOです。(^v^)RAW画像には影響はありません が、LCDでのヒストグラム表示には影響があります。

   C.ヒストグラムとコントラスト

   ここでヒストグラムとコントラストとの関係を視覚的に見てみましょう。

   
s-Image+74.jpg
画像7
s-Image-66.jpg
画像8
Contrast+74.jpg
画像7。コントラストを上げました。
Contrast-66.jpg
画像8.コントラストを下げました。
Hist+74.jpg
画像7のヒストグラム
Hist-66.jpg
画像8のヒストグラム

   ここでお解りと思いますが、コントラストを上げるという操作はヒストグラム の両端がはみ出る方向に向かわせる、下げるということは逆にヒストグラムの両端を中間域に引き付けるという ことです。はみ出してしまったら画像7のように白とび、黒つぶれになってしまいます。

   一般のデジカメ一眼レフでは(例えばキヤノンの5Dといった高級機を 除く)、LCDでのヒストグラムの表示はRAW画像に埋め込まれたJPEG画像の情報を使います。この JPEG画像はデジカメで設定されているJPEG用の撮影パラメーターを使っています

   ということは、「デジカメのパラメーター設定でコントラストを大きく設定す ると、デジカメのLCDでのヒストグラム表示は、実際にRAW画像情報として記録されたものよりも、両側にはみ出る 方向に表示される。」ということが言えますね。これが画像5と画像6のLCDで表示されたヒストグラムの形の 違いの原因であり、画像6のヒストグラム(デジカメLCD)では白とびがあると示されているのに実際は 白とびが存在しない第1の理由です。

   D.デジカメLCDヒストグラムのその他の特徴

   デジカメLCDヒストグラムを見る上でもう一つ頭に入れておきたいことは、 ヒストグラムが緑色成分に偏った表示をしているということです。

   JPEGのヒストグラムを表示する時の圧縮計算では(皆さんがに御馴染みの RGBという色の分解法ではなく)YCbCrという色の分解法を使うということです。Yはルミナンス・輝度(明暗の度合い)、 Cbはクロミナンス(色差)(どれくらい青いか)、Crもクロミナンス(色差)(どれくらい赤いか)と呼ばれてい ます。そしてY・輝度・明るさは次のように定義されています。

   Y = 0.29900 x赤 + 0.58700 x 緑 + 0.11400 x 青

   つまり輝度に寄与する緑の成分比は約60%もあるのです。 これは人間の目が緑に一番多く反応するという事実に基づきます。ということは LCDヒストグラムの表示はどちらかというと緑成分のものに近い、ということになります。ヒストグラムの右側 では緑よりも赤がより右側に位置することが多いので、画像によっては緑成分が支配的なLCDヒストグラムの表示 で右側の端がはみ出していなくても実際は赤成分がはみ出している場合があるということを頭に入れておく必要が あります。しかし、その逆に、パラメーター設定でコントラストを最低にしたらLCDヒストグラムはよりRAWの画像 情報に近くなることと、ヒストグラム表示そのものに幾らかの安全係数がかかっている(と思われる)ことから、 個々のデジカメに関してヒストグラムの右端からのはみ出しがどの程度許されるのかは経験から類推するしか ないでしょう。

   E.結論

   以上より表題に「右寄りの技法」と名づけたのはヒストグラムを「右寄り」 にして撮影するということだとお解りいただけたと思います。結論は既に上述しましたがもう一度繰り返しましょう。 一部変更すると:

   1.デジカメが決めた適正露出を無視し、
   2.ヒストグラム上でぎりぎり右に寄せるプラス露出補正をし、
   3.RAW現像でマイナス露出補正をしたら、
   4.画像情報の多い、ノイズの少ないきれいな画像が撮れる。
   5.パラメーター設定ではコントラストを最小にしておく。

   ヒストグラムを見ながらの撮影ですのでじっくりと撮る風景写真、ポート レート等、静的な撮影スタイル向きですが、このくらい+露出補正をしても大丈夫!という経験を蓄積したら ある程度の動的撮影にも応用できるのではないかと思います。


   本記事についてのご感想、ご指摘等がありましたら、 神原までお寄せ下さい。特に間違いを指摘していただくことが嬉しいです。



5.編集後記

   第7号、如何でしたでしょうか?記事が早く纏まったのでとりあへず、という わけで発行しました。(^v^)

   このメールマガジンについての ご注文・ご感想をお寄せ下さい。皆様が形作るマガジンですのでじっくり・真剣に(^v^)お聴きいたします。

   今年のPMAではフォーサーズ陣営の健闘ぶりが目立ちました。オリンパス、 パナソニック、ライカの共同発表があり、特に パナソニック Lumix DMC-L1 デジタル一眼レフ 手ブレ補正付きライカD バリオエルマリート14-50mm/F2.8-3.5に注目が集まったようです。シグマからも フォーサーズ用レンズ5種の発表がありました。

   それでは皆さんお体を大切に!!


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第1号・平成18年01月15日発行
第2号・平成18年01月20日発行
第3号・平成18年01月29日発行
第4号・平成18年02月06日発行
第5号・平成18年02月16日発行
第6号・平成18年02月24日発行
です。

それでは皆さんの力作、楽しみにしています。ごきげんよう!

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